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渡部奈々著 『アルゼンチンカトリック教会の変容―国家宗教から公共宗教へ―』

成文堂 2017年12月刊 232ページ 定価5000円+税

本書の目的は、アルゼンチンカトリック教会の公共宗教としての特徴を明らかにすることである。アルゼンチンカトリック教会内には、ヒエラルキーに基づいた既存の「組織教会」と、革新派司祭を中心に構成される「民の教会」がある。すなわち、国家宗教から公共宗教に変容した組織教会と、左翼的政治運動から社会支援活動へと理念実践の形態を変えた民の教会という二つの潮流があり、それぞれが異なる公共的役割を果たしている。その変容過程を実証的に分析し、アルゼンチンカトリック教会の公共宗教性を多面的かつ統合的に理解することを目指す。

<目次>
序章
第1章 公共宗教とは何か
第2章 カトリック教会の「現代化」とアルゼンチン教会
第3章 公共宗教の萌芽―「第三世界のための司祭運動」
第4章 公共宗教への変容
第5章 ソーシャル・キャピタルから捉える公共宗教性―モレノ市の事例
第6章 結論