アジア経済研究所夏期公開講座(東京・大阪)のお知らせ

「ラテンアメリカ政治: 多様化する世論と収斂する政策」(東京)

1999年のベネズエラにおけるチャベス政権の誕生をもって、ラテンアメリカの左傾化のはじまりとすることができるならば、それから今年で早13年が経過したことになります。この間に高まった左傾化の流れの背景には、新自由主義への反動として90年代から始まった政治・社会運動の活発化、政党システムの崩壊と再生、そして、地域住民や先住民など新しいアクターの政治参加の拡大などがあります。確かにこうした動きは、ワシントン・コンセンサスの中断や、当地域ではもはや米国の覇権や新自由主義改革が容易には受け入れられないことを含意します。しかし一方で、マクロ経済の安定と成長、貧困や格差の是正が喫緊の課題となることで、各政権の政策選択の幅を制限することにもなっています。以上のような問題意識から本講座では、チリ、ペルー、ベネズエラ、キューバの事例を取り上げます。

「新生ブラジル: 新興する大国の変容と課題」(大阪)

ジェトロ・アジア経済研究所では、1979年から東京で開催している夏期公開講座を、皆様のご要望にお応えして初めて大阪で開催することとし、関西で関心の高い新興各国をテーマに、アジア経済研究所研究員とジェトロ調査担当職員が、それぞれ分かりやすくお話します。

近年のブラジルは、ストップ・アンド・ゴーを繰り返した過去と異なり、新興国の雄として世界でのプレゼンスを高めており、新たな国家として捉え得るとの議論も見られます。本講座では、このような現在のブラジルについて理解を深めることを目的に、経済・産業/政治・社会という観点から、各分野における変化や課題について解説します。