アジア経済研究所夏期公開講座(東京・大阪)のお知らせ
「ラテンアメリカ政治: 多様化する世論と収斂する政策」(東京)
1999年のベネズエラにおけるチャベス政権の誕生をもって、ラテンアメリカの左傾化のはじまりとすることができるならば、それから今年で早13年が経過したことになります。この間に高まった左傾化の流れの背景には、新自由主義への反動として90年代から始まった政治・社会運動の活発化、政党システムの崩壊と再生、そして、地域住民や先住民など新しいアクターの政治参加の拡大などがあります。確かにこうした動きは、ワシントン・コンセンサスの中断や、当地域ではもはや米国の覇権や新自由主義改革が容易には受け入れられないことを含意します。しかし一方で、マクロ経済の安定と成長、貧困や格差の是正が喫緊の課題となることで、各政権の政策選択の幅を制限することにもなっています。以上のような問題意識から本講座では、チリ、ペルー、ベネズエラ、キューバの事例を取り上げます。
- 開催日時: 2012年7月12日(木)10時30分~16時40分
- 会場: ジェトロ東京本部5階 ABCD会議室
東京都港区赤坂1-12-32アーク森ビル5階 - 使用言語: 日本語
- 申込締切: 2012年7月9日(月)、定員100名
- 参加費・申込方法: 下記ホームページでご確認ください。
http://www.ide.go.jp/Japanese/Event/Seminar/2012summer/120712.html - お問い合わせ: ジェトロ・アジア経済研究所 研究支援部 成果普及課(担当: 石垣、丸崎)
Tel:043-299-9536 Fax:043-299-9726 E-mail:seminar@ide.go.jp - プログラム:
「総論」
上谷 直克(アジア経済研究所)
本講では、各論に先立ち、世論調査や選挙結果、経済・社会指標などのデータを使用して、当地域における
「左傾化」以後の政治的トレンドを概観します。
「チリ政治の位相: ピニェイラ政権と市民運動」
北野 浩一(アジア経済研究所)
チリでは、近年大規模な市民運動が頻発しています。これは、安定した政党政治の変革の兆しであるのでしょうか。市民の不満の原因となっている所得格差と情報革命を軸に検討します。
「ペルーの左派政権は、なぜ新自由主義路線をとるのか?」
村上 勇介(京都大学地域研究統合情報センター)
ペルーでは近年、2度にわたり左派政権が誕生しました。だが、その経済路線は、いずれも新自由主義的で
す。現在のウマラ政権の動向を振り返ったうえで、「左から入って右に出る」現象の背景を分析します。
「ベネズエラのチャベス政権: 『21世紀の社会主義』と民主主義の展望」
坂口 安紀(アジア経済研究所)
チャベス大統領の「ボリバル革命」は、13年目を迎えますます急進化し、大統領への権力集中も進んでいま
す。「21世紀の社会主義」「参加民主主義」とは何かを、大統領選の展望も含め分析します。
「ラウル政権下のキューバ政治の課題」
山岡 加奈子(アジア経済研究所)
2009年の正式発足以来、ラウル新政権は主として経済面で改革を進めてきました。政治面でもきわめて徐々にではありますが、改革を行っています。本講座では、ラウル政権のもとで進められてきた経済・政治改革と、それにより生じている社会的な変化について論じます。
「新生ブラジル: 新興する大国の変容と課題」(大阪)
ジェトロ・アジア経済研究所では、1979年から東京で開催している夏期公開講座を、皆様のご要望にお応えして初めて大阪で開催することとし、関西で関心の高い新興各国をテーマに、アジア経済研究所研究員とジェトロ調査担当職員が、それぞれ分かりやすくお話します。
近年のブラジルは、ストップ・アンド・ゴーを繰り返した過去と異なり、新興国の雄として世界でのプレゼンスを高めており、新たな国家として捉え得るとの議論も見られます。本講座では、このような現在のブラジルについて理解を深めることを目的に、経済・産業/政治・社会という観点から、各分野における変化や課題について解説します。
- 開催日時: 2012年7月26日(木)13時30分~16時40分
- 会場: 大阪商工会議所会議室
大阪市中央区本町橋2-8 - 申込締切: 2012年7月20日(金)、定員100名
- 参加費・申込方法: 下記ホームページでご確認ください。
http://www.jetro.go.jp/events/seminar/20120613177-event - お問い合わせ: ジェトロ大阪本部ビジネス情報サービス課 担当:一之瀬(申込)山本(内容)
TEL:06-6447-2317 FAX:06-6447-2336 E-mail:osc@jetro.go.jp - プログラム:
「新生ブラジル: 踊り場に立つ経済・産業と日本企業」
二宮 康史(ジェトロ中南米課 課長代理)
世界的な景気減速の波と、国内産業の競争力の低下という課題に直面するブラジル。 経済・産業の現状を解説すると同時に、日本企業のビジネスの方向性を探ります。
「新生ブラジルの政治・社会の構造変化と課題」
近田 亮平(アジア経済研究所)
近年のブラジルに関して、政治では同国で普及する参加型行政スタイルを、社会では人種問題との関連から社会政策を中心に、その構造的な変化や課題について概説する。