西日本部会研究会のご案内


2016年第2回西日本部会

  <西日本部会>
下記の要領でラテン・アメリカ政経学会と共催で西日本部会研究会を開催しますので、ご関心のある方はよろしくご参集くださいませ。

日時:2016年12月17日(土)13:30~17:00
場所:同志社大学烏丸キャンパス志高館
〒602-0898京都市上京区烏丸通上立売上ル相国寺門前町647-20
会場情報: http://www.doshisha.ac.jp/information/campus/imadegawa/karasuma.html

  SK214教室
13:30-14:20
「暴力と感情の文化的力(ちから)の考察ー中米移民女性の経験から」
浅倉寛子(CIESAS)
社会科学の分野で、感情が分析対象として取り上げられるようになったのは、ここ30年くらいのことである。しかしながら、人間を取り巻く様々な社会現象をより深く理解するには、客観的側面だけでなく、主観的側面をも考慮することが重要と考える 。そこで、本報告では、中米移民女性が移民過程で受ける暴力の経験をもとに、彼女たちがそういった状況の中で、どのような感情を持ち、それが前進するために起こす行動とどのように結びつくのかを考察する。

14:20-14:40討論
14:40-14:50休息
14:50-15:15
「植民地時代前半期におけるポトシの社会と銀鉱業運営の実態」
真鍋周三(兵庫県立大学名誉教授)
植民地時代前半期におけるポトシの銀鉱業社会を理解するためには、ポトシ銀山の発見(1545年)から1570年代前半くらいまでの時代状況と、1570年代後半以降の時代状況との相違点を念頭においてみていくことが重要であろう。1580年ごろ以降、国際商業都市ポトシ市が誕生する。そこではおびただしい量の商品─舶来品(大半が奢侈品)ならびに生活必需品─が流通していた。本報告では、第5代ペルー副王トレド(在位1569−81)の諸改革後に出現したポトシ社会を、17世紀初めに起きた市民戦争〔ビクーニャスとバスコンガドスの戦い(1622〜1625年)〕くらいまでを射程にいれて考察する。王権と私企業による官民混合事業が出現する1570年代後半以降の王権の「事業」にそって、「負債」制の実態をその特色や問題点とともに検討する。

15:15-15:30討論

SK203
教室2010年代半ばのラテンアメリカ政治
13:30-13:35 趣旨説明
第一部 ブラジル(13:35-14:55)
13:35-14:05
「ブラジルの民主主義とテメル新政権の動向」
住田育法(京都外国語大学)
ルーラ元大統領のカリスマ性とコミュニケーション能力に頼り第二期政権を乗り切るかと思われた中道左派労働者党ルセフ大統領は弾劾裁判で罷免され失職した。中道ブラジル民主運動党のテメル副大統領が2018年末まで大統領を務める。テメル新政権は外相に中道右派のブラジル社会民主党のセラ氏を起用するなど、外資を受入れ、経済再建を優先する姿勢を打ち出している。新政権の民主主義と社会正義に対する姿勢を考察する。

14:05-14:35
「2016年ブラジル統一地方選挙─全体評価と政治経済の現状・展望─」
舛方周一郎(神田外語大学)
本報告の目的は、今年8月に実施したブラジルのサンパウロ市とリオデジャネイロ市での現地調査をもとに、各市町村の首長と議員を決めた2016年ブラジル統一地方選挙の動向と結果を分析することで、ブラジルでは、中央‐地方間の政治力学がどのように展開されるのかを解明することである。さらに地方選挙全体の評価や新しい傾向から、転換期にある政治経済の現状を理解することで、2018年大統領選挙にむけた見通しを示すことが狙いとなる。

14:35-14:55 討論
14:55-15:10 休憩

第二部 アンデス諸国(15:10-17:00)
15:10-15:40
「ボリビア・モラレス政権の11年―何が政権を支えてきたのか―」
岡田勇(名古屋大学)
ボリビアで2016年2月21日の国民投票で大統領再選規程に関する憲法改正が否決されたことは、ともすれば同時期の域内他国における左派政権の後退状況に重なるように見られがちだが、そのような評価は短絡的に過ぎるだろう。ではいったい何がこれまで政権を支えてきたのだろうか。本報告では、2006年に始まるエボ・モラレス政権に対する選挙支持、地方レベルの支持、抗議運動についての実証分析から、この問いに答えることを試みる。

15:40-16:10
「コロンビア─和平プロセスの現状と見通し─」
千代勇一(上智大学)
本年9月、国内最大の左翼ゲリラのコロンビア革命軍(FARC)と政府との間で和平合意が成立したが、翌月の国民投票において否決され、国内外に衝撃を与えた。半世紀にわたる武力闘争の終結への期待がある一方で、プロセスに対する懸念や批判も強く、政治的駆け引きの様相すら呈している。そこで本発表では、今回の和平合意のプロセスと内容を検証し、その特徴と問題点、国内政治へのインパクト、そして今後の見通しについて検討する。

16:10-16:40
「ペルーの大統領選挙とクチンスキー政権の現状」
村上勇介(京都大学)
6月に決選投票が行われた今回のペルーの大統領選挙は、歴史的な記録として残る0.24%、4.1万票という僅差で経済テクノクラート出身のペドロ・パブロ・クチンスキーが当選した。本報告は、有力大統領候補者の失格や選挙管理機関の公正への疑念など異例の展開となった4月の一次投票までと、前回の選挙と同様にケイコ・フジモリ有利の情勢が覆った決選投票の過程を振りかえったうえで、就任100日を過ぎたクチンスキー政権の現状と課題について考える。

16:40-17:00 討論

連絡先 
北條ゆかり hojo@ilc.setsunan.ac.jp
宇佐見耕一 kusami@mail.doshisha.ac.jp