会員新刊情報

小澤卓也 『コーヒーのグローバル・ヒストリー―赤いダイヤか、黒い悪魔か』

(ミネルヴァ書房、2010年2月25日発行、348ページ、本体3000円+税)

筆者より

僭越ながら、このたび新著を刊行することになりました。皆様のご意見、ご感想、ご批判を賜れれば幸いに存じます。

カバー袖文

コーヒーは石油につぐ巨大市場を形成する一次産品であると同時に、グローバル化時代の南北問題を鮮やかに象徴する農業生産品でもある。多様な意味を内包するコーヒーの歴史を文脈化して整理し、「コーヒーで結ばれた世界」を見渡すための歴史的視座を明示する、刺激にみちたグローバル・ヒストリーの試み。

目 次

序 章 世界を魅了するコーヒー
第I部 コーヒーから見た人の歴史と社会
第1章 歴史をめぐるコーヒーの旅―アフリカからラテンアメリカへ
1 アフリカ生まれのアラビア育ち
2 イスラーム世界からキリスト教世界へ
3 カフェの空気は自由にする
4 黒い奴隷が摘み、白い主人が味わう
5 ラテンアメリカとコーヒーのほろ苦い関係
第2章 輸出農産品としてのコーヒーとその特色
1 手のかかる作物
2 おいしさを左右する三つの過程―収穫
3 おいしさを左右する三つの過程―精製
4 おいしさを左右する三つの過程―焙煎
5 健康的な嗜好品?
第II部 コーヒーとラテンアメリカの近代化
第3章 ブラジル―他を圧倒する世界最大のコーヒー生産国
1 ブラジルの歴史とコーヒー
2 ブラジルのコーヒー生産の特色と社会―1930年代までを中心に
3 ロブスタ・コーヒーとベトナムの挑戦
第4章 コスタリカ―品質で勝負する中米の老舗コーヒー生産国
1 コスタリカの歴史とコーヒー
2 コスタリカのコーヒー生産の特色と社会―1930年代までを中心に
3 コーヒーに呑まれた小国―エルサルバドルとコスタリカの比較から
第5章 コロンビア―世界に名高い最大のマイルド・コーヒー生産国
1 コロンビアの歴史とコーヒー
2 コロンビアのコーヒー生産の特色と社会―1930年代までを中心に
3 コーヒーと先住民労働者―コロンビアとグアテマラの比較から
第III部 コーヒー消費国の諸相
第6章 アメリカ―世界のコーヒー流通を仕切る最大のコーヒー消費国
1 アメリカの歴史とコーヒー
2 アメリカのコーヒー消費の特色と社会―1930年代までを中心に
3 アメリカンとヨーロピアン―コーヒーをめぐる歴史的関係
第7章 日本―アジア随一のコーヒー消費国の歴史とその特色
1 日本の近代化とコーヒー文化
2 戦後の日本と大衆化するコーヒー文化
コラム
社会主義国キューバのコーヒーと文化
職人技の沖縄産コーヒー
「最高の一杯」を求めて―スペシャルティ・コーヒー業者のたたかい
コナ・コーヒー文化祭と日系人パワー
古都の新しい自家焙煎コーヒー店
参考資料
あとがき
索 引