会員新刊情報
兒島 峰 著『アンデスの都市祭礼―口承・無形文化遺産「オルロのカーニバル」の学際的研究』
明石書店、2014年1月
(http://www.akashi.co.jp/book/b165649.html)
〈内容紹介〉
世界無形文化遺産、ボリビア・オルロのカーニバル。市街で展開する多様な踊りには、土着の伝承や外来の信仰、革命の歴史、人々の生業・階層が反映されている。この祭礼が伝える集団の規範・価値と、口承文化=民衆の創造力が社会を変革してゆく過程に迫る。
〈目次〉
資料目録
略語表
序章
はじめに
第1節 オルロのカーニバルの概観
第2節 先行研究と本研究の意義
第3節 フィールド・ワーク
第4節 本研究で使用する用語について
第5節 章構成
注
第1章 オルロのカーニバルをとり巻く環境
はじめに
第1節 鉱産業都市オルロの成立と発展
第2節 ボリビア革命に至るプロセスとオルロにおいて高まる労働運動
第3節 ボリビア革命の成立と挫折
結論
注
第2章 オルロのカーニバルを支える神話(1940年代)
はじめに
第1節 「アメリカの征服」劇
第2節 トゥパック・カタリ運動
第3節 路上のカーニバルの位置づけの変化
第4節 「ワリの神話」と「ニナ・ニナ」の物語
第5節 「チル・チルの物語」に提示される理想の社会像
結論
注
第3章 オルロのカーニバルを構成する宇宙観と農耕儀礼(1952年革命後)
はじめに
第1節 「悪魔の踊り」と「七つの大罪」劇
第2節 「七つの大罪」劇における悪徳の性格が提示するもの
第3節 鉱山労働者の儀礼と女性の神格
第4節 アラシータと聖処における儀礼
第5節 鉱産業都市オルロにおけるカーニバルと農耕儀礼との関係
結論
注
第4章 明確化していく政治理念(1960年代)
はじめに
第1節 オルロに樹立された人民政府
第2節 都市の空間構成と人民政府の拠点
第3節 チャージャの政治的役割
結論
注
第5章 国家に対峙した「国民文化」の創出(1960年代から1970年代初頭)
はじめに
第1節 口承文化をめぐる国際社会の動向とボリビア政府とオルロ市の対応
第2節 オルロにおける「フォークロア」文化への関心
第3節 1960年代後半からオルロのカーニバルに登場した新しいジャンル
第4節 オルロ市の文化政策からみる国民文化の概念
第5節 オルロ市の文化政策からみる国民国家像
結論
注
第6章 急増する女性参加と新しい国民像の創出(1970年代から1980年代にかけて)
はじめに
第1節 「レィエス・モレノス」と「カポラレス」という新しいジャンル
第2節 フィグーラと呼ばれる女性参加者
第3節 カポラレスに参加する二種類の女性たちの役割
第4節 カーニバルの女性が提示する複数の女性像
結論
注
第7章 カーニバルと経済戦略(1980年代後半)
はじめに
第1節 観光としてのオルロのカーニバルの実態
第2節 踊り手たちに対する経済対策
第3節 オルロのカーニバルの活性化と観光化のための具体策
第4節 オルロに期待された観光産業の特徴
結論
注
第8章 「世界遺産」の登録基準とオルロのカーニバル固有の規範(1990年代)
はじめに
第1節 世界遺産登録を意識して加えられた変更事項
第2節 文化の複数のあり方
第3節 「悪魔の踊り」と「七つの大罪」劇の異なる規範と解釈の多様性
第4節 「悪魔の踊り」の普遍的価値とは何か
第5節 口承文化が世界遺産に登録されることの意味
結論
注
第9章 世界遺産「オルロのカーニバル」をめぐる現状と展望
はじめに
第1節 アウテンティカに浮上した諸問題
第2節 アウテンティカ博物館の落成式
第3節 問題の解決へ向けた打開策
第4節 文化と社会
結論
注
終章
付録
付録1 オルロ社会とボリビア国の歴史年表
付録2 オルロのカーニバルへの参加グループ設立年表
付録3 ブロック制によるグループの入場順序
付録4 ティワナク宣言
付録5 『ラ・パトリア』紙(La Patria)1953年2月21日(土)に掲載された、当時のオルロ市長に宛てたムリージョの書簡
付録6 「フォークロアの首都」宣言
付録7 大統領令第09088号
付録8 政令第15304号
付録9 法律第602号
参考文献
日本語文献
外国語文献
索引
謝辞