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『ジカ熱:ブラジル北東部の女性と医師の物語』
『ジカ熱:ブラジル北東部の女性と医師の物語』
著者 デボラ・ジニス
訳者 奥田若菜、田口陽子
出版社 水声社
発売日 2019年11月25日
251ページ、定価3,000円
本書はDebora Diniz著、Zikaの翻訳本である。ポルトガル語版と英語版の両方から翻訳を行った。
ブラジル人人類学者による本書は、ブラジルで起こった未知の感染症をめぐる物語を速報的に伝えるものである。ブラジルでのジカ熱流行から数年を経ての日本語版出版であるため、著者デボラに新たな「あとがき」を依頼し、さらに訳者あとがきを加えた。
ブラジル、格差、未知の感染症の特定過程、感染症によって不利益を被る社会的弱者、科学的権威と臨床医たち、リプロダクティブ・ヘルス、障碍者のケア、孤立する家族など、さまざまな問題を提起する本となっている。
ブラジルにジカ熱がはいったのは、国際的なスポーツ大会が契機だったと考えられており、オリンピック開催を控える日本にとっても対岸の火事ではない。ブラジルでのジカ熱感染はいまだ終息しておらず、ブラジルにとって新規のウイルスであったジカウイルスは、いまやブラジルに「定住」している。そして、ラテンアメリカ全土へと広がり、いまもさまざまな問いを投げかけている。